RFIDタグ・リーダライタ 開発者インタビュー
富士通フロンテック株式会社
RFIDタグでユビキタス社会を牽引
高性能・低価格・使いやすいUHF帯域製品の開発
ユビキタス社会の基盤技術として注目が高まるRFIDタグ(ICタグ)。中でもこれからのRFID市場で最も成長が見込まれるのが、2004年度末の電波法改正により開放されるUHF帯域だ。現在、富士通グループと連携し、100人体制でUHF帯域RFID製品の開発を推進している富士通フロンテック株式会社の取り組みと、それを裏付ける技術の優位性を取材した。
室内に足を踏み入れた瞬間、エアコンは自分好みの室温に自動設定され、照明も心地よい明るさに変わる。スーパーではカゴに入れた商品の生産履歴が表示され、レジを通過するだけで合計金額が算出される―無線通信による自動認識システムであるRFIDタグが普及すれば、物流からサービス、流通、農作物や家畜の管理、入退室管理、医療など、世の中の仕組みが激変する。
ここがブレイクスルー
| 富士通フロンテック株式会社 システム事業本部 第二事業部 第三技術部長 橋本 繁 氏 |
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| 人と人の接点をつなぐ ユビキタス環境をつくりたい |
RFIDというと、“タグ”という言葉のイメージから「物流管理や生産性向上のためのシステム」との印象が強いかもしれません。もちろん、UHF帯域RFIDを使用すれば倉庫や在庫管理などのIT化は一段と進み、優秀な遺伝子を持つ種豚を選別して品種改良に役立てるといった画期的な利用法も種々考えることができます。
しかし、RFIDの素晴らしさはそればかりではなく、人と人の接点をつなぐ役割を担うこともできるのです。たとえばレストランのメンバーズカードにタグを装着し、お客様の好みを記憶させておけば、ご来店時にお好みに応じた料理やワインをさりげなく提案するといったキメ細かいサービスも可能になります。
開発にあたって、仕事の進め方も文化もさまざまな富士通グループ100人の大プロジェクトをまとめる苦労もありましたが、今では「ユビキタス社会のよりよい環境をつくる」という目標に向け、全員がベクトルを合わせて邁進しています。
通信距離、通信性能、品質のすべてに優れた UHF帯域製
RFIDにはおもに3つの周波数帯がある。13.56MHz、2.45GHz、そしてUHF帯域と呼ばれる950~956MHzだ。このうちで通信距離が3~4mと最も長く、通信性能、通信品質ともに優れているのが、これまで日本では使用が認められていなかったUHF帯域である。現在主流の13.56MHzでは通信距離が数10cmと短いため、タグをリーダの近くにかざす必要があるが、UHF帯域ならコンテナ内の荷物に添付されたタグを外部から一度に読み取れるなど、適用範囲が格段と広がる。総務省では、RFIDはUHF帯域製品の展開が本格化する2007年ごろから一気に普及すると見ている。このためには2005年~2006年におけるRFIDタグのシステム取り込みが最重要となる。
この動きにいち早く対応し、昨秋よりUHF帯域製品の開発を推進してきたのが富士通フロンテックである。すでに13.56MHz製品の開発・生産の実績を持つ同社がハードウェアに関してリーダーシップを取り、富士通の関係事業本部、および研究所と連携の上、合計100人体制で製品開発にあたっている。
UHF帯域RFIDは今後の本命:通信距離、通信性能/品質で優位
| UHF(950~956MHz) | 13.56MHz | 2.45GHz | |
|---|---|---|---|
| 通信距離 | ◎ 3~4m | △ ~60cm | ○ 1~2m |
| 通信性能 | ◎ 40~160Kbps | △ 20Kbps | ○ 30~40Kbps |
| 通信品質 | ◎ 他の干渉問題なし | ◎ 他の干渉問題なし | × 他の干渉問題多い 無線LAN、Bluetooth等 |
RFIDタグ普及のための課題
チップからソリューションまでの一貫体制でRFIDの全課題をクリア
富士通グループの最大の強味は、タグチップやタグから、読み書きを行うリーダライタ、関連機器の開発・製造、さらにはソリューションまで、すべてを自社で手掛けていることだ。他に類を見ないこの一貫体制によって、RFタグ普及の要である低コスト化はもちろん、機能分担により全体システムを通してRFIDのあらゆる課題にもれなく対策を講じ、高性能、高機能、ハイセキュリティを実現できるのである。
現在RFIDの課題はいくつかある。まず、いたるところにタグがある状態で、いかに瞬時に対象のタグを選別し、アクセスするか。同社ではこれをチップとリーダライタに機能を盛り込むことで解決の道筋をつけた。また、偽造や改ざんなどに対するセキュリティの問題には、チップ自体にセキュリティ機能を持たせ、プライバシーの問題には、商品が消費者に購入された時点でタグを無効化させることなどで対応。さらには、タグ同士の干渉を避けるため、環境に応じて上位ソフトで通信距離を操作したり、直線的なタグの指向性を円形に広げることで使いやすさを向上させる。その他、トレーサビリティなどで必要となるオフラインでのタグ単体の情報処理や、金属や水、人体、非接触ICカードなどとの重なりによるタグの通信距離・性能の低下といった隣接物の影響回避にも、それぞれ有効な解決策を用意している。
電子タグの経済波及効果の推移(全体)

出典:総務省
「ユビキタスネットワークにおける電子タグの高度利活用に関する調査研究会」
タグチップに夢のメモリ、FRAMを採用
同社が開発中のUHF帯域RFIDはもう一つ、差別化の大きな武器となる技術を有する。それは、タグチップへのFRAMの採用である。FRAMはディスクとメモリの利点を兼ね備えた“夢のメモリ”と呼ばれ、アクセス速度が速く、電源を切ってもメモリを維持できる優れた特長を持つ。通信距離も、他社製品ではライト時はリード時の1/2以下に低下するが、FRAMではライト時もリード時と同じ3mを保つ。
富士通グループではすでに5年以上のFRAMの採用実績があり、現在、2KB~32KBの容量を量産しているのは、世界でも同グループだけだという。FRAMを採用した富士通フロンテックのRFタグは、性能の高さ、寿命の長さ、通信距離のすべてにおいて、他社製品の追随を許さない。同社は電波法改正に合わせ、2004年度中にUHF帯域RFID製品の量産化をめざしている。新製品は9月15~17日に行われる「自動認識総合展」にも出展される予定だ。この機会にぜひ、導入を検討してはいかがだろう。
(注)上記内容は日経ビジネス2004年8月30日号の広告企画「技術が語る!企業の挑戦-コアテクノロジーレポート」より転載




