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安全ツールから患者参加型の開かれた医療ツールへ

掲載日:2008年10月30日


国立成育医療センター外観

国立成育医療センター様


医療現場におけるIT化が急激に進む中、医療のIT化にいち早く注目し、電子カルテ導入から医事会計、物流管理などの電子化を行う国立成育医療センター様(東京都世田谷区)を訪ねました。
国立成育医療センター様では全ての病室にベットサイド端末を設置し、患者のリストバンドと看護師のID、そして点滴や投薬のバーコードの3点チェックで、誤投与を防ぐ対応を行っています。今回はベッドサイト端末を活用した取り組みや、将来への活用などを中心に医療情報室長 山野辺裕二様にお話をお聞きしました。



院内全て電子化・ペーパーレス化

国立成育医療センター
医療情報室長 医学博士 診療情報管理士
山野辺裕二様

「2002年から院内全てを電子化・ペーパーレス化しています。それにプラスし、ベッドサイド端末を利用した医療を行っています。多くの病院では看護師がノートパソコンを台車に乗せ、各病室をまわり、バーコードのチェック後に投薬を行います。しかし当センターでは、ベッド脇のバーコードリーダで患者のバーコードと看護師のID、薬剤のバーコードの3点をチェックし、正しければ「マル」、間違った薬剤の場合は「バツ」がベッドサイド端末で確認出来る仕組みになっており、医薬品の取り違えや投薬ミスを防いでいます。また、手ぶらで患者さんの元へ素早く移動出来るのもこのシステムの大きなメリットでしょう」(イラスト参照)
医薬品のオーダー内容や患者をバーコードで確認するシステムを導入する医療機関は増えていますが、成育医療センター様では院内全てが電子化されていますので、医師や看護師は病室内のベッドサイド端末で患者のカルテを確認することが出来ます。従来のようにたくさんのカルテやフィルムなどを持ち歩く事もなくなり看護師の負担を軽減していると言います。


ベッドサイド端末を使用した3点チェックのイラスト

開かれた医療のツールとして

病棟のベッドサイド端末

ベッドサイト端末で行われる3点チェックは、機械側が医療者の誤りを防いでいるわけですが、実はもうひとつのキーワードがあると山野辺様。
「ノートパソコンの場合、画面に何が出ているのか患者さんからは見えませんが、当センターのベッドサイド端末には薬の名前も出ますし、正しければ「マル」と出ます。PDAやノートパソコンにはない患者参加型の医療という面では大変効果があると思っています。導入当初は病院側の安全のためのツールという感じでしたし、我々もそう思っていましたが、使っていくと開かれた医療のツールとしては大変良いと思っています」
システムを導入した2002年以降、誤投与などのミスは起きていないと言います。その背景には90パーセント以上にもなるというベッドサイド端末での徹底した認証があります。
「他の医療機関ではナースセンターでまとめて照合をする場合が多々あるようです。実際はその方が絶対楽なんですね。当センターでは入院案内の紹介ビデオ内で[3点チェックしますよ]と説明しており、実際しなかった場合は、患者さんに不安を与えることにもなりかねません。さらには、なぜベッドサイド端末で照合しなかったのかと医療安全関係の院内会議で指摘があがることもあり、職員も緊張感を持って仕事をしています」


ベッドサイド端末を使って・・

表示画面

ベッドサイド端末でチェックを行うのは実は大変意味があると山野辺様は言います。
「当センターのベッドサイド端末の操作記録を使うと看護師の動線の研究に応用できる可能性があり、興味深いと思います。ノートパソコンで投薬の確認を行うのでは、どこでチェックをしたか記録上はわからないのです。例えば当センターでは3点チェックを行いますので、看護師がその患者の部屋で確実に処置した証が残ります。ある看護師がナースセンターからスタートし、A病室で点滴をし、C病室で検温を行い、A病室に戻り確認し、B病室で点滴の処置を・・という動線がわかります。これらは大変質の高いデータになると思います。これを一からやろうとした場合、電子タグを使ったりアンテナを取り付けたりと大変ですが、当センターでは設備の追加なしに出来るんですね。このデータを使えば、看護業務を測定する研究などに大いに寄与できるのではと考えています」


今後の活用として

センター内の様子

「機能面から今後欲しいものとすれば、ベッドサイド端末の画面ごと取り外しが出来て、患者さんと一緒に移動も出来る端末でしょうか。現状満足していますが、移動性がほしい時もあります。当センターではログインしなくても利用出来る機能としてテレビや院内案内などのアメニティ・コンテンツ機能、そしてログインすると食事を選んだり、自分のカルテ閲覧機能などがあります。ここはまだまだ伸びる余地があるでしょうね。たとえば、目的別ナースコールやベッドサイド端末からショッピングが出来るようになればさらに広がるでしょう。ただショッピングに関しては従来の病院情報システムとはかけ離れるのでしょうね。商売という概念は病院になかったですからね。(笑)ただそれが出来るようになれば患者さん向け機能はもっと広がるでしょうし、さらに患者さん側に近づいたベッドサイド端末という感じにはなっていくと思います。ベッドサイド端末は開拓の余地がまだまだある製品だと思います」


国立成育医療センター様ベッドサイド端末機能紹介

病院名 国立成育医療センター病院
所在地 〒157-8535 東京都世田谷区大蔵二丁目10番1号
入院病床 460床
外来定数 900人
診療科
(23科)
内科、精神科、神経科、呼吸器科、消化器科、循環器科、アレルギー科、
リウマチ科、小児科、外科、整形外科、形成外科、脳神経外科、
心臓血管外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、
リハビリテーション科、放射線科、歯科、麻酔科
ホームページ http://www.ncchd.go.jp/

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